
工事の書類はそろっているが、電子納品のデータを作る手が足りない。そんなときに、電子納品だけを外部に頼む方法があります。
この記事では、電子納品だけを外注するときに、頼む前に確かめておきたいことをまとめます。
大切なことを先にお伝えすると、電子納品だけを外注するときは、「適用される要領の版」「事前協議で決めた内容」「書類と写真の中身がそろっているか」「情報共有システムとの関係」「最後の確認を誰がするか」の5つを確かめておいてください。電子化の作業では、書類の中身の不足や誤りは直りません。
電子納品とは
国の土木工事共通仕様書(令和7年3月)では、電子納品を「電子成果品を納品すること」とし、原則として、発注者が指定した電子納品保管管理サーバーへオンラインで納品するものとしています。オンラインが難しい場合は、監督職員と協議のうえで電子媒体に入れて納品します。
国の電子納品等運用ガイドライン【土木工事編】(令和8年2月)では、工事完成図書は原則として電子成果品とし、事前協議で紙での提出とした書類は紙の成果品とする、とされています。
1. 適用される要領の版を確かめる
電子納品の要領や基準は、改定が重ねられています。国の「工事完成図書の電子納品等要領」は、令和8年2月版が令和8年4月1日以降に契約を締結する工事から適用されています。それより前に契約した工事では、前の版が適用されることがあります。
都道府県や市町村の工事では、発注者ごとに独自の要領や、準拠する国の要領の版が定められています。外注先に頼む前に、発注者が指定する要領・基準とその版を確かめて伝えてください。
2. 事前協議で決めた内容を伝える
運用ガイドラインでは、電子納品の対象とする書類やファイル形式などを、受発注者間の事前協議で確認することとしています。事前協議で決めた内容(電子で出すもの、紙で出すもの、ファイル形式など)が分かる記録を、外注先に渡してください。ここがずれていると、作り直しになります。
3. 書類と写真の中身がそろっているか
電子納品の作業は、そろった書類と写真を、決められたフォルダ構成やファイル形式に整えて、成果品にする作業です。書類の不足や記載の誤り、写真の撮り漏れは、電子化の段階では直りません。
特に工事写真は、国のデジタル写真管理情報基準(令和5年3月)で、写真の信憑性を考慮して写真の編集は認めないとされています。足りない写真を後から補うことはできないため、電子納品の前に、写真がそろっているかを確かめておく必要があります。
電子納品だけでなく書類の中身から見てもらいたい場合は、施工管理の書類が分かる外注先に、書類の確認から頼むのが確実です。写真の整理から頼む場合は「工事写真の整理を外注する前に決めておくこと」をご覧ください。
4. 情報共有システムとの関係を確かめる
運用ガイドラインでは、施工期間中の受発注者間のやり取りは情報共有システムの利用を原則とし、受注者はシステムにたまった工事帳票に加えて図面や台帳などのデータを納品するとされています。また、共通仕様書では、情報共有システムで作成・提出した工事帳票は、別途紙に出力して提出しないものとしています。
情報共有システムを使っている工事では、どの書類がすでにシステムに登録されているかによって、外注する作業の範囲が変わります。登録済みの書類を一覧にして外注先に伝えておくと、行き違いが減ります。
5. 最後の確認を誰がするか
電子成果品は、納品の前に、要領・基準に合っているかを確認します。国の電子納品Webサイトでは、電子納品チェックシステムも公開されています。外注先がどこまで確認するのか、最後に会社がどこを見るのかを決めておくと安心です。
まとめ
- 発注者が指定する要領・基準とその版を確かめて伝える
- 事前協議で決めた、電子で出すもの・紙で出すものを伝える
- 書類や写真の不足は、電子化の段階では直らない。写真の編集も認められない
- 情報共有システムに登録済みの書類を伝え、外注する作業の範囲を決める
- 最後の確認を誰がするかを決める
工事の途中で書類が溜まっている場合は「工事の途中から書類を外部に頼むときの進め方」もあわせてご覧ください。
参考にした資料
- 土木工事共通仕様書(案)令和7年3月(国土交通省)
- 電子納品に関する要領・基準類の一覧(国土交通省 電子納品Webサイト)
- 電子納品等運用ガイドライン【土木工事編】令和8年2月(国土交通省)
- デジタル写真管理情報基準 令和5年3月(国土交通省)
※法令・基準・資料の内容は、記事公開時点で各公式サイトに掲載されているものを確認しています。改定されることがありますので、最新の内容は各公式サイトでご確認ください。