
施工管理の人手が足りないとき、外から人の手を借りる方法として、「派遣」と「業務委託」があります。どちらも外部の人の力を借りる点は同じですが、法律上の決まりはまったく違います。
この記事では、会社の側から見た2つの違いと、それぞれの注意点をまとめます。
先にお伝えすると、派遣は、派遣会社の社員に自社で直接指示を出して働いてもらう形です。業務委託は、決めた範囲の仕事を外部に任せ、進め方は引き受けた側に任せる形です。どちらの場合も、現場に置く主任技術者・監理技術者にすることはできません。
施工管理は、派遣で受け入れられる業務
労働者派遣法第4条では、「建設業務」について労働者派遣事業を行ってはならないと定めています。ここでいう建設業務は、土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊もしくは解体の作業、またはこれらの準備の作業に係る業務です。
一方で、厚生労働省の労働者派遣事業関係業務取扱要領(令和8年10月1日適用版)では、施工計画を作成し、それにもとづいて工程管理・品質管理・安全管理などを行う、いわゆる施工管理業務は、建設業務に該当せず、派遣の対象になるとされています。
ただし同じ要領で、工事現場ごとに置く専任の主任技術者・監理技術者は、請負業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にある人に限るため、派遣の対象にならないとされています。
派遣と業務委託の違い
| 比べる点 | 派遣 | 業務委託 |
|---|---|---|
| 契約の相手 | 派遣会社(労働者派遣契約) | 仕事を引き受ける会社や個人(業務委託契約) |
| 仕事の指示 | 自社が派遣された人に直接指示する | 引き受けた側が自分で進め方を決める |
| 契約で決めるもの | 働く期間、時間、業務の内容など | 任せる業務の範囲、成果物、期限など |
| 頼む側の決まり | 派遣先としての決まりがある(派遣先責任者の選任など) | 派遣先としての決まりはない。自社から直接指示はしない |
| 主任技術者・監理技術者にできるか | できない | できない |
派遣を受け入れる会社は、労働者派遣法第41条にもとづき、派遣先責任者を選任しなければなりません。派遣では、受け入れる側にも守るべき決まりがあることを押さえておいてください。
業務委託で気をつけたいこと
業務委託で一番気をつけたいのは、契約は業務委託なのに、実際には派遣と同じように指示して働かせてしまうことです。
厚生労働省の告示「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(昭和61年労働省告示第37号)では、引き受けた側が自分で業務の進め方の指示や労働時間の管理を行い、相手から独立して業務を処理していなければ、労働者派遣にあたるとしています。業務委託では、任せる範囲と成果物を決めて、進め方は引き受けた側に任せるようにしてください。
どちらが向いているか
派遣が向いている場面
- 自社の監督の指示のもとで、現場に常駐して手伝ってほしい
- 日々の細かい指示を出しながら、一緒に仕事を進めたい
業務委託が向いている場面
- 施工計画書、出来形・品質の書類、写真整理など、任せる仕事がはっきりしている
- 工事の量に合わせて、頼む量を増やしたり減らしたりしたい
- 現場に来てもらう必要はなく、離れた場所で進めてもらってかまわない
どちらの場合も、施工方法の決定や発注者との協議など、工事の管理の中心は会社が担う必要があります。詳しくは「施工管理を外部に頼むときに会社が守る3つのこと|業務委託の基本」をご覧ください。
まとめ
- 建設業務は派遣禁止だが、施工管理業務は派遣の対象になる
- どちらの場合も、主任技術者・監理技術者にすることはできない
- 派遣は自社が直接指示する形。派遣先としての決まりも守る必要がある
- 業務委託は範囲と成果物を決めて任せる形。社員と同じように指示すると偽装請負のおそれがある
派遣と業務委託のほかに打てる手は「施工管理の人手不足、採用以外に打てる手」でまとめています。
参考にした資料
- 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(e-Gov法令検索)
- 労働者派遣事業関係業務取扱要領「第2 適用除外業務等」令和8年10月1日適用版(厚生労働省)
- 労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(昭和61年労働省告示第37号)
- 建設業法(e-Gov法令検索)
- 一括下請負の禁止について(平成28年10月14日 国土交通省 土地・建設産業局長通知)
※法令・基準・資料の内容は、記事公開時点で各公式サイトに掲載されているものを確認しています。改定されることがありますので、最新の内容は各公式サイトでご確認ください。