
現場監督の書類の負担を減らす方法のひとつに、「建設ディレクター」があります。社内で育てるべきか、外部に任せるべきか、迷っている会社の方もいると思います。
この記事では、建設ディレクター協会の公開情報をもとに建設ディレクターの仕組みを紹介し、外部の技術者に任せる方法との違いを整理します。
先にお伝えすると、建設ディレクターは、社内の人を育てて、長く書類やデータの仕事を受け持ってもらう方法です。外部の技術者に任せる方法は、現場経験のある人に、必要なときに必要な範囲を任せる方法です。どちらか一方ではなく、組み合わせて使うこともできます。
建設ディレクターとは
一般社団法人 建設ディレクター協会は、建設ディレクターを「ITとコミュニケーションで現場とオフィスをつなぐ新しい職域」と説明しています。工事施工に関わるデータの整理・処理、提出書類の作成管理、ICT業務などを行う職種です。
協会の公開情報によると、仕組みは次のとおりです。
- 育成講座はオンラインで全8回・計30時間を、7週間の期間内に受講する
- 建設概論、工事施工管理の基礎、設計図書の見方や積算の基礎、建設ICTなどを学ぶ
- 受講は、建設会社に勤めている人、または採用が決まった人が対象。直接雇用を強く推進しており、人材派遣会社に所属する人の受講は受け付けていない
- 候補者の例として、新規採用、事務職からの職務変更、事務職との兼任が挙げられている
- 2025年7月からは、講座と試験を分け、試験に合格した人に資格証を発行している
つまり建設ディレクターは、社内の人材を育てて、現場の技術者を事務所の側から支える役割をつくる仕組みです。
社内で育てる方法と、外部に任せる方法の違い
| 比べる点 | 社内で建設ディレクターを育てる | 外部の技術者に任せる |
|---|---|---|
| 始めるまで | 人を決め、講座を受けて育てる期間が必要 | 依頼の範囲を決めれば、すぐに始められる |
| 担当する人 | 自社の社員(事務職や新入社員から育てることもある) | 外部の担当者(現場監督の経験がある技術者など) |
| 社内に残るもの | 知識と経験が社内にたまる | 社内にたまりにくい。仕上がった書類は残る |
| 費用の形 | 人件費と育成の費用(毎月かかる) | 依頼した分の費用(仕事の量に合わせて増減できる) |
| 繁忙期や慣れない工種 | 担当者の経験の範囲で対応 | 経験のある担当者に、その時だけ任せられる |
社内で育てるのが向いている会社
- 毎年、同じような規模・工種の工事が安定して続く
- 事務所に、書類の仕事を受け持てる人がいる、または採用できる
- 育つまでの期間を待てる
長い目で見て、社内に書類とデータの担い手を育てたい会社には、合った方法です。
外部の技術者に任せるのが向いている会社
- 工事が取れているのに、管理できる人が足りない
- 初めての発注者、初めての工種の工事がある
- 書類の量が、時期や現場によって大きく変わる
- 施工方法の検討や発注者との協議の準備など、現場経験が要る部分も手伝ってほしい
外部の技術者であれば、書類の作成だけでなく、施工方法・段取りの案づくり、協議書や打合せ簿の作成、出来形・品質管理の資料づくりなど、現場監督の経験が生きる部分まで手伝ってもらえます。
ただし、外部に任せる場合も、施工方法の決定や発注者との協議の窓口は会社が担う必要があります。詳しくは「施工管理を外部に頼むときに会社が守る3つのこと|業務委託の基本」をご覧ください。
外部に頼む先を選ぶときのポイントは「工事書類の外注先を選ぶときに確かめたい7つのこと」でまとめています。
組み合わせるという選び方
社内の担い手と外部の技術者は、どちらか一方を選ぶものではありません。たとえば、次のような使い分けもできます。
- 普段の書類は社内の担当者が受け持ち、繁忙期や慣れない工種だけ外部に任せる
- 社内の担当者が育つまでの間、外部の技術者が一緒に進める
まとめ
- 建設ディレクターは、社内の人を育てて書類やデータの仕事を受け持ってもらう仕組み
- 外部の技術者は、現場経験のある人に、必要なときに必要な範囲を任せる方法
- 工事の量や、社内で育てる時間があるかで選び、組み合わせることもできる
建設ディレクター以外の方法も含めた人手不足の対策は「施工管理の人手不足、採用以外に打てる手」でまとめています。
参考にした資料
- 建設ディレクターとは(一般社団法人 建設ディレクター協会)
- 建設ディレクター協会 トップページ(育成講座の概要)
- 制度について(一般社団法人 建設ディレクター協会)
- よくあるご質問(一般社団法人 建設ディレクター協会)
- 一括下請負の禁止について(平成28年10月14日 国土交通省 土地・建設産業局長通知)
※法令・基準・資料の内容は、記事公開時点で各公式サイトに掲載されているものを確認しています。改定されることがありますので、最新の内容は各公式サイトでご確認ください。
※「建設ディレクター」は、一般社団法人建設ディレクター協会の登録商標です。当方は同協会とは関係がなく、協会の公開情報をもとに紹介しています。