
「工事は取れるのに、管理できる人が足りない」「求人を出しても、施工管理の経験者が来ない」。多くの建設会社が抱えている悩みです。
この記事では、国の資料から人手不足の現状を確かめたうえで、採用と並行して打てる手をまとめます。
先にお伝えすると、施工管理の人手不足は、採用だけでは解決に時間がかかります。採用と並行して、「書類を減らす」「社内で役割を分ける」「外部の技術者に任せる」「情報共有システムを使いこなす」の4つで、今いる監督が現場の管理に使える時間を増やすことができます。
数字で見る、建設業の担い手
国土交通省九州地方整備局の資料「建設業を巡る最近の状況について」(令和8年2月)では、総務省の労働力調査をもとに、次のように示されています。
- 建設業の就業者は、ピークの685万人(平成9年平均)から、477万人(令和6年平均)へ、約30%減っている
- 技術者は、41万人(平成9年)から31万人(平成22年)に減り、令和6年は39万人
- 建設業の就業者は、55歳以上が36.7%、29歳以下が11.7%で、高齢化が進んでいる
また、国土交通省の資料「最近の建設産業行政について」(令和7年9月)では、2024年4月から建設業にも時間外労働の罰則付き上限規制が適用されていることが示されています。人を増やすのが難しいうえに、一人ひとりが働ける時間にも上限がある、というのが今の状況です。
1. 書類そのものを減らす
国の土木工事共通仕様書(令和7年3月)では、情報共有システムで作成・提出した工事帳票は、別途紙に出力して提出しないものとしています。また、維持工事などの簡易な工事では、監督職員の承諾を得て施工計画書の記載内容の一部を省略できるとされています。
発注者によっては、工事書類を減らすための手引きを出していることもあります。まずは、発注者の決まりの中で、出さなくてよい書類、省略できる書類がないかを確かめることが第一歩です。
2. 社内で役割を分ける
現場監督が書類もすべて抱える形から、事務所の側で書類やデータの仕事を受け持つ人を置く形に変える方法です。建設ディレクター協会が育成している「建設ディレクター」も、この考え方の職種です。
社内に知識と経験がたまる一方で、人を決めて育てる期間が必要です。詳しくは「建設ディレクターを社内で育てるか、外部の技術者に任せるか」で比べています。
3. 外部の技術者に任せる
施工計画書、出来形・品質管理の書類、工事写真の整理、打合せ簿、完成図書、電子納品などを、現場経験のある外部の技術者に任せる方法です。工事の量に合わせて頼む量を増やしたり減らしたりでき、慣れない発注者や工種の工事でも、経験のある人の手を借りられます。
ただし、現場に置く主任技術者・監理技術者は自社と直接雇用関係のある人でなければならず、施工方法の決定や発注者との協議などは会社が担う必要があります。詳しくは「施工管理を外部に頼むときに会社が守る3つのこと|業務委託の基本」をご覧ください。
4. 情報共有システムを使いこなす
国の土木工事共通仕様書(令和7年3月)では、工事打合せ簿などの工事帳票は、情報共有システム(ASP)を用いて作成し、指示・承諾・協議・提出などを行ったものを有効としています。システム上でやり取りが済めば、書類を印刷して持参したり郵送したりする手間が減ります。
紙でのやり取りが中心になっている工事があれば、情報共有システムを使えるかどうかを発注者に確かめてみてください。
まとめ
- 建設業の就業者は減り、高齢化も進んでいる。2024年4月からは時間外労働の上限規制も適用されている
- 採用と並行して、監督が現場の管理に使える時間を増やす手を打つ
- 書類を減らす、社内で役割を分ける、外部の技術者に任せる、情報共有システムを使いこなす、の4つを組み合わせる
参考にした資料
- 建設業を巡る最近の状況について 令和8年2月(国土交通省 九州地方整備局)
- 最近の建設産業行政について 令和7年9月(国土交通省 不動産・建設経済局建設振興課)
- 土木工事共通仕様書(案)令和7年3月(国土交通省)
- 建設ディレクターとは(一般社団法人 建設ディレクター協会)
※法令・基準・資料の内容は、記事公開時点で各公式サイトに掲載されているものを確認しています。改定されることがありますので、最新の内容は各公式サイトでご確認ください。
※「建設ディレクター」は、一般社団法人建設ディレクター協会の登録商標です。当方は同協会とは関係がなく、協会の公開情報をもとに紹介しています。